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2020.11.12

『リング精紡』?『空気精紡』?

前回、デニムの糸をつくる最終工程で『リング精紡(せいぼう)』『空気精紡(くうきせいぼう)』が出てきましたが今回はその二種類の精紡方法についてお話をさせていただきます!

■リング精紡
前工程の練条(前回ブログをお読みください!)で出来上がったスライバーはまだ太すぎてこれから直接目的の糸を紡出することは困難なため、これをもう一度引きのばしながら、はじめて最小限の撚りを加えて、均一な粗糸(そし)をつくります。
リング精紡では、クリール(巻かれた糸を何本もかけたスタンド台装置)に掛けられた粗糸を、上下3対のローラー及びエプロンの回転により引き伸ばします(ドラフト)。ローラーを出ると、高速で回転しているスピンドル(棒状のまわりに糸を巻くもの)によりリング(輪)に取り付けられているトラベラー(回転移動する糸通し)を通って、トラベラーが回転することでしっかりと「撚り」がかけられて糸になります。さらにトラベラーと、スピンドルに取り付けられているボビンとの間の、相対的な回転差によってボビンに巻き取られます。
最近多いストレッチデニムの場合は、ここで弾性繊維(ポリウレタン)を綿の中心に挿入します。

※リング精紡

精紡で造られた管糸(管にまかれた糸)をまとめて、大きなチーズに仕立てる(チーズアップ)仕上げ工程を巻き上げ工程といいます。この巻き上げ工程が終われば染色(たて糸)や織物(よこ糸)の準備工程に送られる紡績工場の完成品となります。なお「チーズ」の名前はヨーロッパなどで食べるチーズの形に似ていることからの由来です。

■空気精紡
空気精紡とは、スライバー(原綿に軽く方向性を与えただけの状態、明確な糸の形にはなっていない)を直接「糸」にする精紡方法です。空気精紡にも、繊維を集束させる方法に幾つかの種類がありますが、基本原理はどれも同じです。
スライバーの繊維束を一旦バラバラにほぐし、繊維束を無撚(むねん:撚りの無いこと)状態にします。その無撚状態の繊維にローター(回転装置)の回転による遠心力、あるいは空気の渦によりドラフト(引き伸ばすこと)をかけ、集束して糸にします。

※空気精紡

リング精紡と空気精紡の糸を比較すると、空気精紡の糸はリング精紡の糸に比べ、撚り構造が原因で強力が10~20%弱いですが、均整度に優れているため、強力のバラツキが少なく織機での糸切れは少ないです。ただし、強力の低さを補うためリング精紡の糸に比べ撚数を高く設定しており、やや固めの仕上がりになる傾向があります。また、空気精紡ではスライバーを直接「糸」にするので、途中の工程が省略できるため、リング精紡に比べコストは安くなります。

※上 リング精紡糸 ※下 空気精紡糸

デニムの用途の場合は、紡績でつくられた糸はその用途に応じて経(たて)糸用と緯(よこ)糸用との二通りに区分されます。緯糸用の糸はチーズアップされてそのまま製織工程に送られます。
通常のブルーデニムは経糸のみが紺色に染められた先染(さきぞめ)織物であるため経糸の糸は『染色工程』に送られます。

次回は『染色』についてお話をします(^o^)

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